研究課題
(1)液循環型BML-IRRAS測定装置の製作に着手し、装置の納品を完了した。通常光源のFTIR分光器(日本電子、SP7000)に接続し、基本性能の確認を以下の手順で行った。(1)システム全体の赤外光の透過率と基本雑音レベル測定。(2)図に示したBML基板として、SiO_2/CoSi_2/Si(100)基板(表面凹凸<1nm)を製作し、プリズム基板のギャップにD_2Oを満たし感度などの性能を確認した。1000cm^<-1>から3000cm^<-1>の主要な測定範囲で雑音が1〜2x10^<-4>(アブソーバンス)と当初の予定の値が得られた。(2)シリコン基板表面をCOOH修飾し、COOHとタンパク質のリジン残基との反応を利用して、表面にアビジンを固定。固定したアビジンの配向を赤外反射吸収スペクトルと透過スペクトルから決定する手法を確立し、アビジンが大気中では変性するもののβバレル構造は変化しないで元の構造が保たれて、かつ分子の対称軸を基板に対して垂直に保って固定されることを見いだした。(3)シリコン基板の表面をNH_2基で修飾し、マイナスにチャージしたジャイアントベシクルを形成し、ベシクルフュージョンを試み、Ca+イオンフリーでベシクルがラプチャーし二重膜を形成出来ることを確認した。電解質溶液のイオン強度を大きくすると二重膜の形成効率が低下することを確認した。(4)シリコン基板表面をウエット酸化し、その表面でのベシクルフュージョンにおいて基板表面のOH基の密度を変えると脂質二重膜の形成速度が変化することを見いだした。Ab initio計算により、OH密度が上がると、その周辺にできる水のクラスターが安定化することが判明した。この水のクラスターのため、ベシクルのラプチャーの効率が低下することで現象を説明できる。
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