研究概要 |
本研究課題では,「有機-金属ハイブリッドナノ結晶の極微構造を制御した多層化コア-ナノシェル構造体の作製法を確立するとともに,その光学特性を評価し,ナノ界面電子・光相互作用を明らかにする.」ことを主たる研究目的とする.本年度は,多層化の要素プロセスとして,逆構造であるPDA(ポリジアセチレン)コア-金属シェルの作製法の確立とその線形光学特性評価を行った. PDAコア-銀シェル型ハイブリッドナノ結晶の作製法として以下の2通りを検討した.ここで,PDAコアナノ結晶(結晶サイズ:70nm,150nm)は再沈法により予め作製した. (1)界面活性剤を用いて銀イオンをPDAコア上に吸着させ,その場還元する方法. 界面活性剤SDSの疎水性アルキル鎖はPDAコア表面に吸着し,親水性硫酸基が銀イオン(硝酸銀水溶液)を静電的にトラップする.還元剤NaBH_4を添加し,PDAコア表面に銀シードを析出させ,さらにNH_4OHで銀シードのみを選択的に成長させた. (2)アンモニア共存下,銀イオンの光触媒還元による方法. PDAコアナノ結晶水分散液に,硝酸銀水溶液とアンモニア水を添加し,室内灯(可視光)照射で,非常に高効率で,銀ナノ粒子が前者の方法よりさらに稠密にPDAコア表面上に析出することを見出した.PDAコアは基板であると同時に,銀イオン還元の光触媒としても作用していると考えられる.つまり,PDAの価電子帯から伝導体に励起された電子が銀イオンを還元する.TEM・電子線回析,消光スペクトルからの構造解析も行った.
|