研究課題/領域番号 |
17034067
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
丑田 公規 独立行政法人理化学研究所, 環境ソフトマテリアル研究ユニット, ユニットリーダー (60183018)
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研究分担者 |
益田 晶子 独立行政法人理化学研究所, 環境ソフトマテリアル研究ユニット, 協力研究員 (10322679)
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キーワード | 拡散係数 / 蛍光相関分光 / 時空間依存性 / 細胞外マトリックス / ヒアルロン酸 / 多角体タンパク質 / 分子間相互作用 / 異常拡散 |
研究概要 |
本年まで数年をかけて、蛍光相関分光(FCS)を用いて、不均一系に生じる異常拡散現象を測定する新しい装置を開発してきたが、異常拡散を、拡散係数の距離依存性として直接測定できる装置を完成させて、細胞外マトリックスの主たる成分の一つであるヒアルロン酸の水溶液中の拡散係数を測定した。その結果では、ヒアルロン酸網目の作る不均一な場だけでなく、その網目が揺らぎながら時間変動していることによる信号の変化を見いだした。 現在、このような現象をうまく説明するために、「局所的な異常拡散」という考え方を提案している。すなわち、ある特定の空間領域や時間領域で、拡散粒子の平均2乗変位が時間に比例して増加せず、そこで「拡散係数」を定めることは出来ない。むしろ、拡散係数が動的に変化していると考えた方がよい。不均一系では、いくつかの正常拡散領域が存在するがそこを飛び移るときに「局所的な異常拡散領域」が生じる。 この装置をさらに改良するために、複数のセンサーから入力する光パルス信号を信号処理することによって、FCSにおいて自己相関関数ばかりでなく、多重相関関数を記録できる装置に改良を進めた。これによりFCCSを初めとして、波長の異なる蛍光どうしのクロス相関も解析できる。 一方細胞系の測定として、多角体タンパク質に内包されたタンパク質に、さらに別のタンパク質が相互作用する系を用いて、FCS測定を行い、外部に存在する蛍光ラベル化した分子の会合状態、ならびに多角体からの垂直距離に相関関数の関数形が変化することを見いだした。
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