海洋生物からの生物活性物質探索の一環として、本研究では、海洋由来真菌Penicillium citrinum N055株より、新規4環性アルカロイドPerinadin Aを単離し、絶対立体配置を含む化学構造を明らかにした。同じくP.citrinum N059株より、5環性アルカロイドCitrinadin Aとともに新規化合物Citrinadin Bを単離し、Citrinadin AとBの絶対立体配置を含む化学構造を推定した。 沖縄県辺戸岬沖にて採取したアオブダイの消化管より分離した真菌P.citrinum N05株の培養液の上清より、新規アルカロイドPerinadin Aを得た。Perinadin Aは、光学活性な無色の非結晶性固体として得られ、HRESIMSより分子式がC_<28>H_<37>NO_2であることが明らかとなった。2D NMRデータの詳細な解析に基づいて、Perinadin Aの相対立体配置を含む化学構造を帰属した。CDスペクトルの解析より、絶対立体配置を1S、3R、4R、2'R、3'Sであると帰属した。C-7'はエピ体の混合物であると推定した。 沖縄県辺戸岬沖にて採取した紅藻より分離した真菌P.citrinum N059株の培養液の菌体より、新規アルカロイドCitrinadin Bを、既知関連化合物Citrinadin Aとともに単離した。2D NMRデータの詳細な解析に基づいて、Citrinadin Bの化学構造を明らかにした。Citrinadin AとBの絶対立体配置は、ECDならびにVCDスペクトルの解析により全絶対立体配置を帰属した。 Perinadin A(1)とCitrinadin B(3)は、マウス白血病細胞L1210に対して殺細胞活性を示した。1は、グラム陽性細菌に対して抗菌作用が認められた。
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