研究課題/領域番号 |
17035023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
葛山 智久 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (30280952)
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研究分担者 |
高橋 洋子 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (80197186)
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キーワード | テルペノイド / 阻害剤 / メチルエリスリトールリン酸経路 / 抗菌剤 / 除草剤 / 抗マラリア剤 |
研究概要 |
ヒトはメバロン酸経路を利用し、病原菌を含む多くの真正細菌、マラリア原虫、高等植物の色素体は、メチルエリスリトールリン酸経路を利用する。従って、メチルエリスリトールリン酸経路の特異的阻害剤は、副作用の無い理想的な抗菌剤、抗マラリア剤、除草剤のリード化合物になり得ると考えられる。そこで本研究では、メチルエリスリトールリン酸経路を標的とした上記薬剤のリード化合物となりうる新しい生体機能分子を、微生物の代謝産物を中心に広く天然有機化合物に求めることを目的としている。 メチルエリスリトールリン酸経路のみを利用する枯草菌は、メチルエリスリトールリン酸経路の特異的阻害剤であるfosmidomycin存在下では生育不可能である。しかしながら、放線菌由来のメバロン酸経路の遺伝子を導入した枯草菌の形質転換株は、fosmidomycin存在下でもメバロン酸添加により生育することが可能である。従って、この形質転換株を試験菌として利用し、メバロン酸を添加しない時には抗菌活性を示し、メバロン酸を添加した時にはその抗菌活性がキャンセルされる物質を探索することにより、目的の阻害剤を得ることができる。これまでに、297種のActinomycetes由来の1782サンプルと、640種のカビ由来の2400サンプル、Actinobacteria由来の414サンプル、41種の植物抽出物についてアッセイを行った。その結果、Actinomycetes属K04-0282株由来のサンプルが、目的のメチルエリスリトールリン酸経路特異的阻害活性を示した。そこで、2.5literの再培養を行い活性物質本体の精製を試みた。現在までのところ、酢酸エチルや、クロロホルム:メタノール=9:1の混合溶媒では、いずれのpHにおいても抽出されないことを確認した。また、HP20には弱いながらも吸着されることも確認した。今後は、イオン交換体の検討も含めて活性物質の精製を進める。
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