研究概要 |
2-シクロヘキセノン誘導体とアクリル酸誘導体との連続的なMichael反応によるビシクロ[3.3.1]ノネノン骨格の構築法について検討した。まず、シクロヘキセノン誘導体とアクリル酸誘導体との段階的なMichael反応によるビシクロ化合物の構築を検討した。シクロヘキセノン誘導体とアクリル酸誘導体との分子間Michael反応により環化前駆体を合成した。テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)、炭酸カリウムにより環化前駆体の分子内Michael反応を行うと、カルボニル基のα位で環化反応が進行しビシクロ化合物が得られた。次に、ビシクロ化合物のワンポット構築法について検討した。シクロヘキセノン誘導体とアクリル酸誘導体との分子間Michael反応により環化前駆体を系中で発生させた後、反応溶液にTBAB、炭酸カリウムを加え分子内Michael反応を行うとビシクロ化合物が得られた。シクロヘキセノン誘導体とアクリル酸誘導体との連続的Michael反応によるビシクロ化合物の構築法は、段階的に行つてもワンポットで行っても同程度の収率でビシクロ化合物を与えることがわかった。 シクロヘキセノン誘導体とアクリル酸誘導体との連続的Michael反応によるビシクロ化合物構築法における立体選択性を検討するため、環化前駆体の分子内Michael反応について非経験的分子軌道計算を行った。その結果、分子内Michael反応は環化前駆体から発生するエノレートの最高被占軌道の係数が一番大きいカルボニル基のα位で進行し、イス型遷移状態を経てビシクロ化合物を与えるととがわかった。 Michael供与体として2,4-ジオキソシクロヘキシルカルボン酸エステルを用いるとワンポットでアダマンタン化合物が得られることがわかった。
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