研究課題/領域番号 |
17037002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八木 健彦 東京大学, 物性研究所, 教授 (20126189)
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研究分担者 |
岡田 卓 東京大学, 物性研究所, 助手 (90343938)
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キーワード | ポストペロフスカイト / 選択配向 / D"層 / 超高圧 / CaIrO_3 / MgGeO_3 / スラブ / 弾性的異方性 |
研究概要 |
本研究では、スラブ構成鉱物が下部マントルに沈んだ時に示すと考えられる物性を明らかにした。最近発見されたポストペロフスカイト相は、下部マントル最下部のD"層を構成する主要鉱物と考えられているが、これは沈み込んだスラブが最終的に行き着ついたものである可能性が高い。本研究ではこのポストペロフスカイト相が塑性変形を起こした時の結晶の選択配向を明らかにするために、CaIrO_3やMgGeO_3をモデル物質としてダイヤモンドアンビルを用いて高圧下で塑性変形実験を行い、radial diffraction法によりそれらの選択配向の様子を明らかにした。昨年度行った実験では、b軸が加圧軸方向に揃う強い選択配向の生じることが明らかになったが、この結果は他グループで行われた同じ構造を持っMgGeO_3の実験結果とは大きく異なり、その原因について議論を呼んでいる。そこで本年度は同じCaIrO_3を試料として、まず20GPa以上の超高圧下までペロフスカイト相を加圧し、そこで加熱してポストペロフスカイト相に転移させた後、さらに超高圧領域まで加圧するという実験方法や、MgGeO_3のいくつか異なる相を出発物質としてポストペロフスカイト相に転移させた時の選択配向を明らかにし、現在まで報告されているさまざまな結果の相違が何に起因し、かつ実際の下部マントルケイ酸塩ではどのようなことが起こっているのかを推測した。この研究により、地震波でD"層に関して観測されている種々の特徴的な性質が、どのような原因で生じているのかを理解することが可能になると期待される。
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