研究課題
研究協力者のDouglas A.Wiens教授(ワシントン大学)らと共同で、背弧海盆の上部マントルを対象にした地震学的手法(Wiens担当)、電磁気学的手法(島担当)、数値シミュレーション手法(Conder担当)に関する研究のレビューを進めて、次のことを明らかにし、これらの結果を論文にまとめて発表した.地震波速度(P波、S波)とその減衰は、温度、メルト含有量、割れ目の幾何学に強く依存する.これらのパラメータの中で、上部マントルでのメルトの割れ目の幾何学に関しては、現在も論争があり、この不確定性から、メルト含有量を定量的に扱うことは困難な状態である.一方、電気伝導度は、水の含有量、少量であっても連結したメルトに大きく依存するが、温度にはさほど敏感ではない.特に、ドライなマントルでは、メルト量が1%程度の少ないものであっても、そのメルトが連結していれば、電気伝導度が1桁以上も上がる.また、この連結に方向性があると、強い電気伝導度異方性(方向によって1桁以上も値が変わる)となって現れる.具体的な計算を行うことで、これらのパラメータによる電気伝導度の変化量を、可能な範囲で定量化した.なお、研究費のうち物品費は、計算機に必要な消耗品および、マリアナ海域で実施している長期海底電磁気観測の消耗品に使用した.マリアナ海域では、地震波速度構造を得るための高密度な観測が実施されており、この観測は、現存する電気伝導度構造より高分解能な電気伝導度構造を得るために重要なものとなるからである.
すべて 2006
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AGU Monograph ; Interactions among Physical, Chemical, Biological and Geological Processes in Back-Arc Spreading Systems Accepted(記載決定済)