研究課題/領域番号 |
17037005
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
大迫 正弘 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 室長 (60132693)
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研究分担者 |
伊藤 英司 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (00033259)
米田 明 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 助教授 (10262841)
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キーワード | 沈み込み帯 / 高圧 / 熱伝導率 / 熱拡散率 / 比熱 / 川井式装置 |
研究概要 |
ひきつづいて、スラブとその周りを構成する物質の熱伝導率と熱拡散率を高圧・高温のもとでパルス加熱法を用いて測定した。この測定法では熱拡散率と熱伝導率が同時に求まり、したがって比熱もだせ、また、熱伝導の異方性もはかれる。高圧発生には岡山大学地球物質科学研究センターの川井式装置(USSA-1000)を用いている。 スラブの浅いところを特徴づける物質の一つ蛇紋石の熱伝導度の圧力依存性が特異なふるまいを示したので、再び測定してそのことを確かめた。測定した蛇紋石試料は結晶が配向しているかもしれないが、蛇紋石の配向を決めるにはなかなか難しい。しかし、試料の薄片で見て、また音波速度を測った限りにおいて熱伝導の異方性に影響するほどではないようである。さらにこのことをX線でたしかめた上で、測定結果を論文にまとめる予定である。ほかに、沈み込み帯で重要であるとともに高圧測定の圧力媒体にも用いられるタルクの熱伝導率の測定を考えた。タルクでは試料の配行性の問題を避けるために、粉末を固めたものを使うことにした。また、ザクロ石・カンラン石と並ぶおもなマントル物質の輝石についてはヒスイをアナログ物質にしたものの、熱伝導の圧力依存性の再現性があまりよくない。ヒスイについて実験を続けるとともに天然の斜方輝石を入手して測定することにした。試料の結晶のさしわたしが小さいので、この測定はセルを小型化する必要がある。そこで、1辺14mmの八面体圧力媒体と切り落とし長さ8mmのアンヴィルを用いる。また、このようなセルにより測定圧力は15GPaを超えることが期待できる。試料まわりの大きさをきめたところであり、実験は継続中である。パルス加熱ヒーターと試料昇温用ヒーターの材質についてはこれまでニクロムを用いてきたが、使用温度が1000℃を超えられないようであり、タンタルまたはモリブデンに代えることを考えている。
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