研究課題
本研究は、計画研究工で行われる海底電位磁力計を用いた海底電磁気機動観測によって取得される海底MTデータを解析し、フィリピン海上部マントルの電気伝導度異方性を明らかにすることを目的としている。平成18年度は、1)上記観測航海に参加し、データ取得に貢献すること、2)電気伝導度異方性を検出することに特化した観測を開始すること、3)回収したデータを解析して予備的な考察を行うこと、に注力した。観測では、地震研究所と海洋研究開発機構が所有する海底電位磁力計12台を、平成18年11月に海洋研究開発機構の研究船かいれいを用いた航海によりフィリピン海の海底に設置した。このうちの3台は、電気伝導度異方性を検出することに特化した小アレイとして展開した。これらは平成19年度の秋に回収する予定である。また平成17年10月に設置していた海底電位磁力計11台を全て回収した。回収したデータを解析し、MTレスポンスを推定した。また3次元フォワードモデリングを行い、海陸境界と海底地形がデータに及ぼす影響を見積もった。その結果、地形や海陸分布では説明できないデータの特徴が明らかになり、海底下の不均質構造や異方性に起因すると考えられる特徴を捉えることができた。これらの成果は、平成19年3月に開催されたブルーアースシンポジウムで発表した。また、本研究に密接に関連する研究の成果を2編の論文にまとめ、掲載が認められた。一つは東太平洋海膨における電気伝導度構造で、電気伝導度異方性をインバージョンを用いて明らかにしている。同様の方法は本研究にも応用可能である。もう一つは日本海東縁の上部マントル電気伝導度構造を明らかにした研究で、フィリピン海と背弧海盆という点で共通しており、今後のデータ解釈に有用である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Geophysical Research Letters 33・L22301
ページ: doi:10. 1029/2006GL027528