研究課題/領域番号 |
17038011
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大野 義章 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40221832)
|
研究分担者 |
佐野 和博 三重大学, 工学部, 助教授 (40201537)
奥西 巧一 新潟大学, 自然科学系, 助手 (30332646)
|
キーワード | コバルト酸化物 / 電子相関 / フラストレーション / 超伝導 / 軌道自由度 / d-p模型 / 強磁性 / 金属絶縁体転移 |
研究概要 |
層状コバルト酸化物Na_xCoO_2や超伝導を示す水和物Na_xCoO_2・yH_2OにおけるCO_2面の電子状態を、Coのd軌道5個とCo面の上下の酸素面にあるp軌道それぞれ3個の合計11個の軌道を含む2次元三角格子11バンドd-p模型に基づいて調べた。d電子間のクーロン相互作用として、軌道内、軌道間の直接項U、U'、交換項(フント則結合)J、およびペアホッピングJ'を考え、フント則結合Jの効果を考慮できるように改良されたU有限スレーブボソン法を用いて電子相関効果を調べた。LDAのバンド計算によるフェルミ面は、Γ点を中心とする大きなフェルミ面(a_<1g>)と6個の小さなホールポケット(e_g')からなるが、ARPESの実験で観測されたバンドは、LDAのバンドに比べてかなり狭くなると同時に、e_g'バンドがフェルミレベルよりも下にありホールポケットは現れない。本研究では、d電子の強相関効果により準粒子バンドが狭くなると同時に、e_g'バンドがフェルミレベルよりも下に押し下げられホールポケットが消失する事がわかった。さらに、a_<1g>バンドがバンド端近傍でフラットになるために、xの増大とともに強磁性相関が増大し、0.75<x<0.95ではCO_2面内の金属強磁性が実現するという実験とコンシステントな結果を得た。また、銅と酸素の2重鎖構造を持つPr系銅酸化物Pr_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>>で最近発見された新しい超伝導の機構を、1次元2重鎖d-p模型を用いて朝永-ラッティンジャー液体論に基づいて調べた。その結果、この系がスピンギャップをもつC1S0相にあり、現実的なクーロン相互作用の大きさで超伝導になることを明らかにし、ドーピング依存性や圧力依存性の実験とコンシステントな相図を得た。
|