研究課題/領域番号 |
17038014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
島川 祐一 京都大学, 化学研究所, 教授 (20372550)
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研究分担者 |
高野 幹夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (70068138)
齊藤 高志 京都大学, 化学研究所, 助手 (40378857)
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キーワード | 異常磁気伝導 / 遷移金属酸化物 / フラストレーション / 電荷不均化 |
研究概要 |
特異な磁気伝導特性を示すSrCo_6O_<11>の中性子回折実験を行い磁気構造を決定した。中性子回折実験からは、3つのCoサイトの内、磁気モーメントを担っているのが三角両錐Co(3)サイトであり、またこれが高スピン状態であることが確認された。また飽和磁化の約1/3の磁化プラトー状態ではab面内で強磁性層を形成するCo(3)のc軸異方的な局在モーメントがc軸に沿って↑↑↓↑↑↓型に配列した珍しい磁気構造が実現していることが明らかになった。これは当初予想していた三角格子面内の磁気配列とは大きく異なるものである。このc軸方向の長周期磁気配列が伝導特性と大きく相関していることになる。また、Ba置換体(Sr_<1-x>Ba_x)Co_6O_<11>の粉末、及び単結晶試料の合成にも威功し、イオンサイズの大きなBaが入ることにより、磁気特性の挙動が変化することも明らかになった。 磁気フラストレーションと伝導の相関を示す可能性のある新規物質として三角格子を有する層状化合物であるInFe_2O_4にも注目した。還元雰囲気下での合成により、ほぼ単相の試料を得ることに成功し、放射光X線回折により結晶構造を明らかにした。この物質の磁気特性はc軸報告に強いイジング性を示すフェリ磁性である。メスバウアー分光測定の結果、室温においてはFeが平均化数2.5価の常磁性状態にあるが、低温では2価と3価へと電荷不均化を起こしていることが明らかとなった。伝導特性との相関の詳細を検討中である。
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