研究課題/領域番号 |
17038023
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
伊豫 彰 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (50356523)
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研究分担者 |
永崎 洋 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (20242018)
鬼頭 聖 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (30356886)
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キーワード | 高温超伝導 / 多層型銅酸化物超伝導体 / 高圧合成法 / フローティングゾーン法 / 新超伝導体探索 / 酸化物単結晶育成 |
研究概要 |
高温超伝導体は、電荷供給層(CRL)と無限層(CaCuO2)が積層した結晶構造となっており、CRLに含まれる特徴的な元素をもって、La系、Bi系、Tl系、Hg系、Cu系、F系などと呼ばれる。それぞれの系には、無限層構造に含まれるCuO2面の枚数(n)の変化もある。TcとCuO2面の枚数(n)との関係は、銅酸化物のTcの極限を追求する上でも興味深い問題である。現在、多くの系でTcはn=3で最高値となり、それ以上CuO2面を増やすと逆にTcが低下することが知られている。nを限りなく大きくするとTcは最終的にどうなるのであろうか?この問いの答えは、CRL間のCuO2面にキャリアがどのように分布するかに依存すると考えられる。キャリアが全てのCuO2面にほぼ一様に分布するという考え方に従うと、総キャリア量が増え続けない限り、CuO2面一枚当たりのキャリア濃度が減少するため、超伝導はいずれ消失するであろう。ところが、NMRによる多層型銅酸化物の系統的な測定は、キャリアはCRLに隣接するCuO2面(OP)に多く存在し、内側のCuO2面(IP)には少ないことを示している。この場合、Tcのn依存性はそれほど単純ではないはずである。 そこで、我々はHgBa2Can-1CunOyとBa2Can-1Cun(O,F)2について高圧下で合成し、Tcのn依存性を調べた。その結果、n〜9においても80〜100Kという高いTcが維持され、n【greater than or equal】5でTcがnに依存しなくなることを見いだした。Hg-1245においてOPで超伝導がIPで反強磁性がNMRとμSR測定によって観測されていることを考慮して、CRL間に幾ら多くのCuO2面が有っても、CRLは高いTcを維持するのに十分なキャリアを隣接するCuO2面には与えることができ、その結果、Tcがnに対して一定となると解釈した。
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