重力不安定による微惑星の形成過程については、数値シミュレーションにより、以下の研究成果を得た。標準的な原始惑星系円盤モデルで太陽系組成を持った原始惑星系円盤の場合は、シア不安定による乱流のためにダスト層の密度は重力不安定の臨界密度には達しない。太陽系組成の場合に比べて、固体とガスの比が大きい値の場合は、シア不安定性は起こりにくくなり、重力不安定による微惑星形性が起こる可能性がある。ガス圧力が最大値を持つ半径の場所ではシア不安定は起こらずに、重力不安定の臨界密度を越える。臨界密度を越えた後、ダスト塊が小さくて、ガス抵抗時間がケプラー時間より短ければ、重力不安定が成長する。ダスト塊が大きくて、ガス抵抗時間がケプラー時間よりも長ければ、重力不安定の成長よりも沈殿が早いために、重力不安定は成長するまえに、ダスト層は非常に薄くなってしまう。 ダスト合体成長に関しては室内実験を行なった。星間有機物とケイ酸塩鉱物の混合物を、シリコンオイルとソーダガラスの混合物で模して衝突付着実験を行なった。その結果、混合物の反発係数がほぼゼロであることが明らかとなった。混合物は効率的に運動エネルギーを散逸させることがわかった。また、斜め衝突実験を行なうことで付着確率を計測した。付着が起こるためにはある程度の有機物量が必要であることが明らかとなった。この結果から、原始惑星系円盤内における特定の領域で選択的にダスト合体成長が進行することが示唆される。そのような領域では固体とガスの質量比が大きく変化することが予想される。
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