研究課題
「我々の住む太陽系、このような惑星系は、唯一無二のものだろうか?それとも、宇宙にありふれたものなのだろうか?そして生命は???」宇宙望遠鏡に搭載するコロナグラフ光学系を開発し、太陽系外惑星の直接観測を目指すことは、この根源的な問題にせまるための強力な手法である。本研究によって、次世代赤外線天文衛星SPICAに搭載するコロナグラフの開発を進め、大きく進展させることができた。本研究の主な成果をまとめると、次のようになる。バイナリ瞳マスクコロナグラフの検証実験:赤外域への適用を考慮し、各種のコロナグラフのなかでもバイナリ瞳マスク方式に注目した。検討の結果、赤外域での開発の前に、可視域での検証実験が必要と判断されたため、そのためのマスクを開発した。具体的には、線形計画法による数値計算によって形状を最適化し、電子ビーム描画による微細加工によって、ガラス基板の上に高精度のマスクを構築した。He-Neレーザー光源とレンズによる光学系、CCDカメラを用いて、可視域における実証試験を行った。コロナグラフ画像の精度を高める様々な工夫の結果、7桁という非常に高いコントラストを実現することができた。この性能はSPICAで要求されるスペック(6桁)を満たすだけでなく、(世界中で開発競争が展開されている)コロナグラフ単体での世界記録となった。PIAAコロナグラフの開発:Phase Induced Amplitude Apodization(PIAA)コロナグラフは、原理的にはバイナリマスク方式より高い性能が得られるが、その実証はよりチャレンジングであった。本研究では、国立天文台ハワイ観測所の超高精度の金属切削鏡と可変形鏡を利用し、世界ではじめてPIAAの実証に成功した。このように、今年度の研究では非常に充実した結果を得ることができたといえる。
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