研究課題/領域番号 |
17040003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 実 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (70282100)
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研究分担者 |
羽根 一博 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (50164893)
金森 義明 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (10333858)
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / マイクロマシン / 光スイッチ / 計測工学 / アクチュエータ |
研究概要 |
改良した光スキャナを完成した。主たる改良は、静電アクチュエータとして駆動しながら、センサ信号が得られるようにしたこと、センサの高精度化のために電気的絶縁を施した点である。通常、アクチュエータはシリコン酸化膜のエッチングによってリリースするのに対して、センサの保護膜には酸化膜が良いという互いに相反する構造を用意する必要がある。製作プロセスは、この点に配慮した。 一体形成した回転角センサがアクチュエータの動作を妨げることなく動作できることを示した。静電アクチュエータを駆動(90Vで〜1゜)しながら、同時にセンサ信号を得た。ミラー回転角を光学的な手法で測定しつつ、センサ信号と比較した。SNの差はあるものの、ミラー回転角とほぼ同形のセンサ信号が得られた。マイクロミラーに集積化させたセンサによって、ミラーの静電駆動に追従した信号を示したのは、世界初である。 センサに流すバイアス電流がトーションバーを加熱し、ミラーの動作に悪影響を及ぼすのではないかと指摘されてきた。センサに加えるバイアス電流を、光スキャナの共振周波数(〜14kHz)よりも高い周波数で変調すると、ミラーの変動が抑えられることも分かった。 センサ信号を詳しく調べると、0-1゜のミラー回転4往復分のセンサ信号はほぼ重なりヒステリシスが少ないことが伺えた。現在はSNが十分でないため、近似曲線を利用して、ヒステリシスを評価した。結果、全ての往復で2%以内に収まっていることが分かった。電圧をオープンループで印加した駆動方法においてはヒステリシスが4%あった。少なくとも、センサ信号を利用してミラーを動作させた方がヒステリシスは少なくできると言える。 今後は、更に信号の質を向上させる。電流変調を行う電気回路が十分高周波にできないことも、問題になっている。デバイスそのものと同じく改良の余地がある。
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