研究課題/領域番号 |
17040016
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
渡邉 正義 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60158657)
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研究分担者 |
小久保 尚 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助手 (80397091)
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キーワード | アクチュエータ / 電場応答性高分子 / イオン液体 / イオンゲル / 炭素電極 / 電気二重層 / ブロック共重合体 |
研究概要 |
イオン液体を高分子網目中に閉じ込めた「イオンゲル」を電解質に用い、両面に電極を装着することで高分子アクチュエータに適用してきた。イオンゲルの作製法として、網目高分子をイオン液体中で合成する「その場重合法」、高分子のゾルゲル転移を利用した「ゾルゲル法」を見出した。さらに種々の炭素材料を電極に用いアクチュエータ特性(変位量、変位速度、周波数依存性、繰り返し特定など)を検討した結果、炭素電極は、表面積が大きく、電子伝導性が高く、アスペクト比の大きな形状を持つことが望まれることを見出した。これはこのアクチュエータの動作原理とイオンゲル/炭素電極界面に形成される電気二重層の充放電現象が密接に係わっているためである。カーボンナノチューブは上記特性を満足するが高価である。カーボンナノチューブと安価で非常に表面積の広い活性炭を併用することにより、比較的特性の優れたアクチュエータを創製することができた。 今年度はアクチュエータの動作原理の検討に特に力点を置いた。電解質であるイオン液体構造を変化させた結果、イオン伝導度が高いイオン液体を含むイオンゲルアクチュエータが、大きな変位を示すことを明らかにした。またイオン液体を構成するイオンのサイズに関わらず、全て陽極方向に変位する現象を見出した。これに対応して、電極/電解質界面に形成される電気二重層容量が常にカチオン分極の場合の方が大きいことを見出した。アクチュエータの駆動力は、この電気二重層容量の違いが界面の状態を陽極側、陰極側で相違させることに起因すると考察した。 さらに、新しいイオンゲルの作製法として、イオン液体に対して親和性のあるセグメントと親和性のないセグメントからなるABA型ブロック共重合体を合成してイオンゲル化を検討した結果、イオン液体が親和性のあるセグメントに選択的に相溶した海島構造を形成し、熱可塑性弾性体として得られることを見出した。
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