研究概要 |
圧電アクチュエータは,小型,高出力,高精度,高応答性を有するため,自動車,家電製品,マイクロ・ナノデバイス等の様々な部品へ応用されている.しかしながら,既存の圧電アクチュエータでは,小型,低コスト,かつ変位と力を両立したアクチュエータは実現困難であった.我々は,2枚のバイモルフ型圧電素子を両端支持で組み合わせ,それらを積層することにより,これらの要件を満たす新たな積層圧電アクチュエータを開発し,TAMPA(Tailor-made Multilayer Piezoelectric Actuator)と名付けた.本年度は,前年度に引き続きTAMPAの改良を行い,特に,現在問題となっている圧電セラミックス(PZT)中の鉛による環境問題に取り組むため,無鉛圧電セラミックスを用いたTAMPAの無鉛化アクチュエータを作製し,動作・特性と解析を実験的に確認した.さらに,作製したTAMPAをマイクロデバイスへ応用を試みた.本年度の成果として,下記の通り,積層圧電アクチュエータのデバイス応用および積層圧電アクチュエータの無鉛化としてまとめる. ・積層圧電アクチュエータのデバイス応用 本アクチュエータは,小型,低コスト,かつ変位と力を両立したアクチュエータであるので,マイクロバルブやマイクロステージ等の様々なデバイスへ応用可能である.今年度は,マイクロバルブへの応用を行い,マイクロチャネル内のマイクロ二層流の混合用デバイスとして応用を試みた結果,マイクロ二層流の混合及びマイクロチャネル内の濃度勾配の生成に成功した. ・積層圧電アクチュエータの無鉛化 圧電セラミックス(PZT)中の鉛が環境問題となっているので,無鉛圧電セラミックスの調査を行った.実際に,無鉛圧電セラミックス((K,Na)(Nb,Ta)O_3)を用いてアクチュエータを作製し,特性評価・解析を行った.(776字)
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