研究概要 |
マイクロ領域における流体パワーの利用は,流体パワーの伝達システムが持つ大きなパワー密度と機械的摺動部を持たない閉鎖空間の圧力(応力)変化に伴う変形を利用した簡易な構造原理により,有望なアクチュエータ駆動原理の一つである.しかし自身の変形を利用したアクチュエータ構造は,材料の特性や形状,製作方法など様々な製作プロセスとパラメータに大きく影響を受ける.本年度は,機能性流体を用いたマイクロメカトロデバイスの開発に欠かせない,アクチュエータモジュールとバルブ,ポンプモジュールを試作した. アクチュエータモジュールの試作では,ブルドン管型アクチュエータを光造形法を用いて一体成形で試作し,特性を検討した.バルブモジュールの試作では,全長が1mm以下のマイクロフルイディクス(層流比例素子)をマイクロ放電加工により金属プレート上にアレイ状に配置した構造を試作した.またポンプモジュールの試作では,作動流体に機能性流体の一種である電界共役流体(ECF)を用いた薄型ポンプを試作し特性実験を行った. 各種モジュールの詳細な特性実験の結果,試作過程で生じる様々な問題点が明らかとなり,各モジュールの製作プロセスや材料選定,加工法の工夫と改善に関する数々の知見が得られた.今後は,各種の問題点を整理し,複数の素子をアレイ状に配置した一体構造の各種モジュールを試作していく.また当初の目標である,階層一体化構造のマイクロメカトロデバイス構築のための,材料選定や組みたて方法などのデザイン手法を明らかにしていく.
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