二次電池の正極材料として期待されるLiMn_2O_4を、メカニカルアロイング法により作成した。LiOHとMnO_2を、400℃から800℃でアニーリングして得られた試料について、室温で中性子回折およびX線回折測定を行った。リートベルト解析から、ブラッグライン強度はスピネル構造(空間群Fd3m)をもとに説明できることがわかった。400℃では、ブラッグラインの半値幅は非常に大きいが、アニーリング温度が増加するとともに小さくなる。この半値幅およびブラッグラインの面積強度より、LiMn_2O_4の粒径サイズや合成されたLiMn_2O_4の量などを見積もった。400℃および500℃における中性子散乱による散漫散乱強度は、800℃の散漫散乱強度より若干大きい。散漫散乱強度には、水素からの非干渉性散乱断面積が大きく寄与するため、試料中に含まれる水素量の温度依存性を見積もることができる。散漫散乱強度の変化から、合成過程における物質量の変化が推定できることを明らかにした。 高温で超イオン導電体となる、PbF_2の15Kおよび300KのX線および中性子回折測定から、これまで報告されている最近接原子間の相関効果に加えて、第二近接原子間の相関効果の直接的な測定を試みた。X線回折測定を行った300KにおけるPbF_2からの散漫散乱強度は、通常の物質に比較して数多いピークを持っ振動的な形状を示した。振動の周期は、熱振動の相関を示す原子問の距離に反比例する関係となるため、第一近接原子問距離より長い距離の問に生ずる熱相関効果の寄与がPbF_2には存在することがわかる。一方、中性子散乱で観測されるPbF_2の散漫散乱に生ずる振動ピークの数は、通常の物質とほぼ同数となる。散漫散乱測定は「ある瞬間」における構造情報を含み、EXAFS測定と関係がある。これら2つの測定法について比較した。
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