希土類元素は蛍光体の発光中心として不可欠である。プラズマディスプレーなどの新しい表示デバイスでは、励起波長が従来よりも短波長である147nmの真空紫外光であり、新たな高輝度蛍光体が求められている。本研究では可視部に吸収のないワイドバンドギャップ半導体に注目して、希土類元素をドープもしくは主成分の一つとして含有する新化合物の創製を目的としている。 本年度は、窒化ガリウムをワイドバンドギャップ半導体として選択した。硝酸ユーロピウム、硝酸ガリウム、クエン酸を水溶液中で混合して得たゲルを仮焼した前駆体を、アンモニア気流中で窒化した。生成する酸窒化ガリウムはガリウム欠損をもち、ユーロピウムを2モル%程度しか置換固溶できなかった。それ以上の添加量では、ユーロピウムオキシシアナミドが生成した。その発光波長は窒化ガリウムの波長とは異なっていた。 そこでランタンおよびガドリニウムについても、同様な合成法を用いてユーロピウムをドープしたオキシシアナミドを合成した。3%程度のドープ量で濃度消光を示した。またランタンオキシシアナミドの方が、ガドリニウムオキシシアナミドよりも結晶性が良いことを反映して、発光強度が高かった。
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