研究課題/領域番号 |
17042008
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
塗 溶 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80396506)
|
研究分担者 |
木村 禎一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10333882)
増本 博 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50209459)
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60125549)
|
キーワード | 二チタン酸バリウム / 強誘電体 / 非鉛系 / 希土類元素置換 |
研究概要 |
本研究者らは、浮遊帯域溶融法(FZ)により作製したBaTi_2O_5単結晶が高いキュリー温度(743K)と大きな誘電率(約20000)を有する強誘電体であることを世界で初めて報告した。BaTi_2O_5はb軸方向にのみ強誘電性を示すことから、実用的にはb軸配向した多結晶体の作製が求められる。また、BaTi_2O_3では、BaサイトをLaやNd等の希土類元素の固溶置換によって優れた誘電特性を広温度域で持たせることが報告されているが、BaTi_2O_5については報告例がない。そこで、本研究では、アーク溶解法によりBaTi_2O_5多結晶体および希土類元素を添加したBaTi_2O_5多結晶体を合成し、誘電特性に及ぼす希土類元素添加の影響を調ペた。 BaCO_3、TiO_2、La_2O_3粉末を用い、(Ba+La):Ti=1:2(mol%)の割合で混合・成形した。Ar雰囲気中でアーク溶解し、凝固体を得た。希土類元素を添加したBaTi_2O_5を(020)面と平行に切り出し、1123Kの空気中で96h熱処理した。X線回折により相同定し、格子定数を測定した。交流インピーダンス法により誘電率(ε)および電気伝導度(σ)を測定した。測定温度を室温から1073K、測定周波数(f)を100Hzから10MHzとした。 0-2.5mol%La_2O_3を添加したBaTi_2O_5のa軸長は1.69074から1.68938nmに減少し、c軸長は0.94141から0.94052nmに減少したが、その後ほとんど変化しなかった。また、b軸長とβ角はLa_2O_3の添加によりほとんど変化しなかった。従って、La_2O_3の固溶限は2.5mol%であった。La_2O_3添加したBaTi_2O_5はいずれも(020)面に強く配向した。BaTi_2O_5の誘電率の極大値はLa_2O_3添加量の増加に伴い減少し、またブロードになった。BaTi_2O_5が変位型の強誘電体であるため、イオン半径の小さいLaの添加により単位格子が小さくなり、TiO_6八面体中のTiの変位量が小さくなることは、La_2O_3添加に伴う誘電率の極大値が減少する原因と考えられる。誘電率の極大値を示したキュリー温度はLa_2O_3添加量の増加に伴い750Kから380Kまで連続的に低下した。0.5mol%La_2O_3の添加により、BaTi_2O_3ではキュリー温度が24K低下したが、BaTi_2O_5では38Kであった。BaTi_2O_5の電気伝導度は、La_2O_3添加量の増加につれて0.5mol%まで約1桁増大したが、それ以上のLa_2O_3を添加してもほとんど変化しなかった。
|