研究課題/領域番号 |
17042020
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
板倉 賢 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 助教授 (20203078)
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研究分担者 |
桑野 範之 九州大学, 産学連携センター, 教授 (50038022)
友清 芳二 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 教授 (40037891)
波多 聰 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 助手 (60264107)
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キーワード | Nd-Fe-B磁石 / 電波吸収材料 / 走査電子顕微鏡 / 透過電子顕微鏡 / 集束イオンビーム加工 / EELS分析 / STEM-EDX分析 / ナノ組織解析 |
研究概要 |
各種希土類系磁性材料において機能発現に最適なパノスコピック形態に制御するための指針を得るために、本年度は以下に示す3種類の希土類磁性材料について走査電子顕微鏡(SEM)および透過電子顕微鏡(TEM)を用いた詳細な微細構造解析を行った。 (1)Re-Fe-B系高周波電波吸収材: 廃ボンド磁石から水素中不均化(HD)処理と酸化処理により合成した電波吸収材は、Fe母相を微細な希土類酸化物(Nd_2O_3あるいはY_2O_3)粒が分断したナノ複合体組織を有していた。希土類酸化物による磁性相の絶縁隔離により良好な電磁波吸収能が発現すると共に、HD処理による磁性相の微細化が高周波側の電波吸収に有効なことが明らかとなった。 (2)Tb改質Nd-Fe-B系高保磁力磁石: 微小化による磁気特性劣化を回復できるTb改質処理を施す前後のNd-Fe-B系焼結磁石について、FIBマイクロサンプリング法により薄膜化してTEM観察を行った。EELS分析の結果、改質処理後には磁石内部のNd粒界相部分にまでTbが一様に分布していること、及び希土類成分に富んだ数nm幅の薄い界面相がNd_2Fe_<14>B主相周囲を均一に取り囲んだ構造となっていることが明らかとなった。 (3)Nd-Fe-B系PLD磁石膜: 室温でのPLD成膜後に加熱したpost-annealing試料では、単磁区粒径(〜0.3μm)程度の微細なNd_2Fe_<14>B強磁性粒が生成することで高保磁力を発現することがわかった。ただし、Nd_2Fe_<14>B結晶粒はランダムな方位で生成しており、配向組織にはなっていなかった。今後、基板加熱試料についても解析を進め、異方性発現の原因を解明して、PLD厚膜磁石の更なる高保磁力化と異方性の付与について検討していく予定である。
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