研究課題
気体酸素を酸化物イオンとして固体構造中に吸蔵し、酸素分圧が低下すると逆に放出する働きを酸素ストレージ機能という。本機能により自動車排ガス中の酸素濃度が有害成分の触媒反応に有効な条件に制御されている。現在、実用されている酸素ストレージ物質CeO_2-ZrO_2の場合、Ce(IV)-Ce(III)間の酸化還元によるストレージ量は最大0.25mol-O_2/mol以に過ぎない。本研究ではCeO_2系の実質10倍量もの大容量O_2吸蔵・放出を実現する画期的な希土類オキシ硫酸塩を開発した。パノスコピック形態制御に基づいて原子スケールの結晶構造制御からナノ・ミクロスケールの階層構造化により、最高性能の酸素ストレージを達成した。希土類オキシ硫酸塩は温度が十分に高い条件(【greater than or equal】700℃)では、CeO_2-ZrO_2を凌ぐ酸素ストレージ特性を示すが、600℃以下での作動は遅い。この点を改善するために、多孔性微細構造の最適化が必要である。界面活性剤(ドデシル硫酸Na=SDS)を利用したテンプレート法により、有機-無機階層構造を有するPr-DS-NH_3の合成に成功した。Pr-DS-NH_3から得た試料においては還元速度は約8倍も増加し、2mol/molに相当する重量変化が安定して繰り返された。以上の結果よりPr-DS-NH_3から合成したPr_2O_2SO_4のメソ孔構造は酸素ストレージの促進に非常に効果的であることが明らかになった。
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