研究課題
本年度の研究実績は2方向に分類できる。第1は、Nd-Fe-B系焼結磁石の磁壁運動と保磁力の相関を、主に結晶粒界の析出相を最終アニール温度の相違で制御した試料群と、平均結晶粒子径を通常よりも微細化した試料群で検討した結果である。これは、とくに保磁力に関連する磁化の温度依存性を測定して、反転核生成温度(TKまたはTDSR)を上記の試料群について測定した研究でいくつかの論文となった(文献リスト参照)。関連研究である磁区構造観察で、結晶粒子集団の磁化反転挙動の観察を始めたことは、このある種の特性温度(TKまたはTDSR)の測定と合い補い合う関係の研究項目である。第2は、Sm-Fe-N系磁石粉体における交流磁化率の測定であり、報告を行うまで今一歩のところまでデータが得られつつあるが、同粉体粒子の磁壁運動の粒子径依存性と、Zn金属との反応による粒子表面の改質の及ぼす影響についてのデータが得られ始めた。次年度から、研究成果を発表していく所存である。この研究では、保磁力の増加と、直流磁化率における磁場変化速度への応答性の現れる、磁壁運動の磁場変化への応答の遅れが、相関性があることが明らかになった。さらに交流磁化率における交流磁場周波数に対する磁壁の運動性の変化も確認されつつある。次年度は、これらを総合して、核生成型磁石における保磁力の、磁壁の運動性への依存、という一見矛盾する現象の本質を明らかにする。
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