KEKで開発した液体キセノン用パルス管冷凍機(190W@165K)を使用し、連続運転中の系内ガスの露点変化を測定した。冷凍機は通常1年以上連続運転で使用する。 これまでパルス管冷凍機の露点測定の多くは、一定期間冷凍機を運転し機器停止後すぐに冷凍機側と圧縮機側とを切離し、その後系内に残っている冷媒ガスを微少流量で放出しながら測定していた。この方式による露点測定は容易ではあるが、圧縮機起動直後やコールドヘッド温度低下に伴う露点の変化、及び運転中のゆるやかな露点変化をモニターすることが困難である。本研究では、市販の静電容量式露点計を圧縮機側と冷凍機側とに取付け長期連続運転中における系内ヘリウムガスの露点変化をリアルタイムで測定した。通常パルス管冷凍機の冷凍機側には1MPa程度の脈動がある。静電容量式露点計のセンサーには測定ガスの圧力差制限があるためガスラインに直接センサーを取付けることが出来ない。このためロータリーバルブと冷凍機間の配管に露点センサー用のバイパスラインを設け、ガスの一部を分流して測定した。センサーの前後にはバルブを取付け測定時センサー部に加わる脈動を吸収することが出来た。圧縮機側は、吐出ガスを11/min程度の流量で吸入側にバイパスし、露点センサーにガスを流した。 実験により圧縮機起動後コールドヘッドの温度低下に伴い、系内の露点が下がり、数日間運転後、ほぼ-56℃程度の一定の露点を維持している様子が確認できた。2ヶ月以上の連続運転後、停止、加温し冷凍機側に蓄積された水分量と、定常運転時の系内露点との関連を調べることができた。また静電容量式露点計の指示値が外気温の変化により変動しており、測定中は露点とあわせて外気温の確認が必要であることがわかった。
|