研究概要 |
トーラスにおける減衰の少ないアルフベン固有モード(AEs)はITERなどでの核反応で生じるα粒子の閉じ込めに非常に大きな影響を及ぼすことが知られており、核融合研究の重要な課題とされている。本研究ではユーリッヒ研究機構プラズマ物理研究所のトカマク装置TEXTORの動的エルゴディックダイバーター(DED)のコイルを利用して、これに数十kHz-1MHzの高周波電流を主DCまたはACのDED電流(DC-1kHz,10kA)に重畳することによってトロイダル、ポロイダルモードの制御されたTAEの励起を行った。DEDコイルのインピーダンスの外部計測及び、トロイダル方向のミルノフコイルによる波動磁場計測によってTAEの特性を詳しく調べると共に、DEDコイルのDC電流による周辺プラズマの変化や周辺磁場構造の変化に伴うTAEの安定化の試みに関する研究を行った。DEDコイルを利用した高周波の重畳、電流.電圧計測回路の設計と組み立て、真空及びプラズマによる予備試験を行い、またDEDのプラズマ実験の時にこれらを用いてインピーダンス計測の予備実験の後、プラズマ密度、トロイダル磁場、DC DED電流等を変化させTAEの励起実験を行った。最大電圧150V,最大電流5A,周波数DC-1MHzのRF電源を用い、RFをDEDコイルのペアに印加した。プラズマ密度、トロイダル磁場、DED DC重畳電流、NBIなどのパラメータを変え、TAEの励起実験を行い、アンテナインピーダンス、MIrnovコイルによるRF磁場の計測を行った。RF磁場とインピーダンスのスペルトルが磁場、密度で変化する様子をTAEの計算と比べる解析を行いDED電流の小さなときにはプラズマの大きな変化は見られないがRF磁場が広い周波数領域で減少し、電流を増すと逆にRF磁場が増して行く領域があることを観測した。
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