研究概要 |
D-T核燃焼プラズマによって生成される高エネルギーα粒子の粒子束等はプラズマ自己加熱過程を理解する上で重要であり、その計測法の構築が必要である。本研究では燃料粒子である重水素粒子と高エネルギーα粒子との核反応,D(α,γ)^6Liによって生成するLi-6原子核の第2励起レベルの2.18MeVガンマ線の放出量から高エネルギーα粒子束や密度状態を測定する方法を検討し、その方法に必要な核的基礎データの取得を目指した。 神戸大学タンデム・バンデグラーフ型加速器(5SDH-2)によって2から4MeVに加速したアルファ粒子を重水素化ポリエチレンに照射し、エネルギー高分解能でかつ高検出効率(1.8keV,25%)なゲルマニウム半導体検出器で2.18MeVのガンマ線を測定した。 結果として入射α粒子の運動学的因子に相当するドップラー効果によるエネルギーシフトを伴ったLi-6原子核の第2励起レベルのガンマ線の光電ピークを明確に測定することに成功した。また2-4MeV間でのガンマ線生成率のエネルギー依存性は3MeV程度まで過去の測定値と良く一致するが、それ以上のエネルギーになると本研究で得られた生成率が過去の実験値に対して10倍から50倍程度であることが明らかとなった。このことからITERクラスの典型的なD-T核燃焼プラズマで生成する3.5MeVアルファ線からのガンマ線の生成量は10^<13>ガンマ線/秒になることが予測されることが分かり、提案した上記測定法によるD-T核燃焼ガンマ線の高エネルギーα粒子束の測定法に対する一定の見通しを得た。
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