研究概要 |
LIDAR(Light Detection and Ranging)トムソン散乱法を用いた核燃焼プラズマの温度・密度の高空間・高時間分解診断システムの検討を行った。測定性能としては、空間分解能1cm程度、測定周期100ms以下、電子温度測定領域100eV〜40keV、密度測定範囲3x10^<19>m^<-3>〜3×10^<20>m^<-3>を目標とした。本研究の結果、次のことを明らかにした。 1.計測用高出力・高繰り返し超短パルスレーザー:上記の測定目標を達成するために、波長750nm,パルス幅47ps,エネルギー>7J,繰り返し周波数>10Hzの性能を設定し、これを満たすことのできるレーザーを検討した。その結果、チタンサファイアレーザーまたはアレキサンドライトレーザーが最適なことが分かり、概念設計を行った。また、チタンサファイアレーザー励起用として、Cr,Nd:YAGセラミック媒質を用いたレーザーの実証試験を行い、初期結果として、Nd:YAG結晶の2倍程度のレーザー効率が得られた。 2.超高速検出器:ストリークカメラ47ps未満の時間応答と、トムソン散乱に必要なS/N比が得られるストリークカメラの検討を行った。既存のストリークカメラではS/Nの問題が指摘されてきたが、光電面にGaAsPを用いることにより従来の数倍の量子効率が得られることが分かった。 3.分光システム:光学的に明るい、干渉フィルター型ポリクロメータ、フーリエ変換分光器の概念設計を行った。 4.較正手法:チタンサファイアレーザー(750nm)では、励起用のYAGレーザー光(1064nm,532nm)も散乱計測に利用できる可能性を示し、3波長で計測し測定精度を高め、in-situで相対波長感度を較正する手法を提案した。また、YAGレーザー光のパルス圧縮には、誘導ブリルアン散乱セルを用い数百psのパルスを作ることを示した。
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