研究課題/領域番号 |
17045002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中山 啓子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60294972)
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研究分担者 |
石田 典子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10361073)
原 賢太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, COEフェロー (60400248)
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キーワード | EID / 発現制御 / 発生・分化 / ノックアウトマウス / HDAC |
研究概要 |
EID-1はさらに分化に関わる転写コアクチベーターp300に結合し、p300の有するヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を阻害し、この阻害活性によって分化を抑制する。すなわち、分化誘導可能な細胞株にEID-1を過剰発現させ、血清除去などによる分化誘導が阻害される。さらにEID-1はp300のみならず、その基質であるヒストンにも結合することによってそのアセチル化を阻害し、細胞の分化に必要な転写因子の機能を阻害した。 ところがEID-1は細胞増殖を停止し分化誘導が開始されると同時に、急激にプロテアソーム依存的分解によって分解されるため、分化関連転写因子の阻害作用は消失し、分化が開始することが示唆された。 一方、EID-1の類縁分子として同定したEID-2およびEID-3は、EID-1と異なり転写抑制に働くヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)と結合し、機能的に協調することによって、分化に関わる転写を阻害する。つまりEID-2およびEID-3もEID-1と同様に分化誘導可能な細胞株に過剰発現させると、血清除去などによるMyoDなどの転写活性誘導が見られず、分化誘導が阻害される。特に、マウス筋芽細胞株C2C12細胞への剰発現では、アポトーシスの誘導がみられ、EIDファミリーは単に分化の決定因子として機能するのではなく、アポトーシスも含む細胞の運命決定因子として機能していると考えられた。 EID-2は分化を促進する転写因子であるSmadに結合し、2量体形成を阻害することによってSmadの転写活性を抑制することも明らかとなっている。 EID-2およびEID-3遺伝子は同一染色体上の近傍に位置するので、EID-2単独、EID-3単独およびEID-2およびEID-3双方の遺伝子を欠失したマウスの作製を目標として、ベクターの作製および相同組み換えES細胞の取得を行った。
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