研究課題
Bteb2/Klf5はKruppel like familyに属する転写因子であり、当初は薬物代謝酵素cypla1のシスエレメントBTE(Basic Transcription Element)に結合するSp1、Bteb1(Klf9)に相同性を有する遺伝子として当研究室で単離された(Sogawaら、Nucleic Acid Res. 21,1527,1993)。近年、Klf5はnon-canonical Wntシグナルによって転写レベルで誘導される事が報告され、またhaplo-insufficiencyで動脈硬化の発症が抑制される事が報告されてきているが、その生理機能はよく分かっていなかった。そこで我々がノックアウトマウスを作製し解析したところ、ノックアウトマウスは着床しないことによる胎生致死となることが判明した。ノックアウト胚の胚盤胞においては、栄養外胚葉細胞の細胞数の減少とともに、ハッチングに極めて重要な役割を果たすcdx2遺伝子の発現の著明な減弱を認めた。また、胚盤胞のoutgrowth cultureを行うと、内部細胞塊(ICM)様の細胞集団を認めない事から、ICM細胞の増殖あるいは未分化性維持における役割が示唆された。そこで、Klf5ノックアウトES細胞を樹立したところ、未分化性は維持されていたが、増殖能に著明な減少を認めた。Klf5ノックアウトES細胞ではG1期停止状態の細胞数が上昇するとともに、p21cip1、p16ink4a、p19arfなどのcyclin-dependent kinase inhibitor遺伝子の発現上昇が認められた。さらに、Klf5は直接p21cip1、p16ink4aなどの遺伝子発現を抑制的に制御することを明らかにした。このようなことから、Klf5は、cell cycleの負の制御因子の転写を抑制することで幹細胞の増殖を制御しているようなkey moleculeであることが示唆された。
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