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2005 年度 実績報告書

造血幹細胞の維持増殖と分化のメカニズムの個体解析

研究課題

研究課題/領域番号 17045006
研究機関筑波大学

研究代表者

清水 律子  筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (40226262)

キーワードGATA-2 / 造血幹細胞 / ノックダウン / 条件付きノックアウト / 系列決定
研究概要

造血幹細胞が,自己複製をしながら特異的な性質を持った多系列の血液細胞に分化する過程では,遺伝子発現の特異的かつ精密な制御が必須である.GATA因子群に属する転写因子GATA-2は造血幹細胞や未熟な前駆細胞を中心に発現している.また,GATA-2遺伝子の発現制御領域の詳細な解析により,自分自身の発現を正に調節する一方で,同じGATA因子群に属するGATA-1によりその発現が負に調節されている明らかになりつつある.
GATA-2は造血幹細胞の維持と増殖に必須な因子であるが,従来の遺伝子ノックアウトマウス法では,胎児期における重篤な造血機能障害に基づく致死表現型により,それらの機能欠失を成体造血において深く解析することは困難であった.そこで,誘導的かつ臓器特異的にGATA-2の発現を抑制し,個体における造血幹細胞から系列特異的な血液細胞への分化のメカニズムを解析する目的で,条件付きGATA-2遺伝子ノックアウトマウス(G2CKO)の樹立を試みた.その作成過程で,同時にGATA-2ノックダウンホモ(G2^<KD/KD>)マウスを樹立したが,本マウスは泌尿器発生の異常により約7割が3週齢までに死亡した。残りの約3割は成獣に達したが,これらのマウスは加齢に伴って末梢血の単球増多と血小板数減少を示し,著明な脾腫を呈した.また,骨髄および脾臓では,Lin^-c-Kit^+CD34^+Sca1^<-/low>分画の細胞増加とともに,単球・骨髄球系細胞が著明に増加し,赤血球系前駆細胞は減少していた.このことは,GATA-2が造血幹細胞の維持増殖の調節以外に,骨髄球系細胞と赤血球巨核球系細胞への系列決定を調節している可能性を示唆する.
G2^<KD/KD>マウスを用いた造血幹細胞から系列特異的な血液細胞への分化のメカニズムの解析と,G2CKOマウスのGata2遺伝子誘導的ノックアウトを用いた造血幹細胞の細胞自立的な増殖・分化の解析も進行中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Gene expression regulation and domain function of hematopoietic GATA factors2005

    • 著者名/発表者名
      Shimizu R., et al.
    • 雑誌名

      Semin.Cell Dev.Biol. 16

      ページ: 129-136

  • [雑誌論文] Transgenic over-expression of GATA-1 mutant lacking N-finger domain causes hemolytic syndrome in mouse erythroid cells.2005

    • 著者名/発表者名
      Nakano, M., et al.
    • 雑誌名

      Gene Cells 10

      ページ: 47-62

  • [雑誌論文] Rapid turnover of GATA-2 via ubiquitin-proteasome protein degradation pathway2005

    • 著者名/発表者名
      Minegishi, N., et al.
    • 雑誌名

      Gene Cells 10

      ページ: 693-704

  • [雑誌論文] Graded levels of GATA-1 expression modulate survival, proliferation and differentiation of erythroid progenitors2005

    • 著者名/発表者名
      Pan, X., et al.
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 280

      ページ: 22385-22394

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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