研究課題
我々は、ES細胞を用いた心血管分化研究を行い、Flk1陽性細胞を共通の前駆細胞として心血管系発生の初期分化過程を再現することのできる分化誘導系を構築した(Nature,2000)。本研究は、心筋に分化する様々な前駆細胞(または幹細胞)を予見的に探索・同定し、心筋分化機構の解析を行うとともに、新しい心筋再生技術の開発を目的とする。本年度は、年度計画に従って以下の研究を行った。1)心筋前駆細胞分画の探索:Flk1陽性細胞から2次元培養下単一細胞培養による心筋細胞分化誘導法を開発した。同分化系を用いて心筋前駆細胞の予見的(prospective)同定を行い、新しい心筋前駆細胞(Flk1陽性CXCR4陽性VE-カドヘリン陰性)の同定を純化に成功した。(Yamashita, FASEB J,2005)。2)同定心筋前駆細胞の分化誘導法、大量培養法と効率的心筋細胞誘導法の開発:wnt阻害物質が心筋分化を誘導することを明らかにした。一方、nogginは心筋前駆細胞分化を抑制した。3)心筋分化に伴う遺伝子発現プロファイルの作製:ES細胞、Flk1陽性細胞、分化心筋細胞に加えて新たに同定した心筋前駆細胞分画をもちい、心筋分化における遺伝子発現プロファイルを作製した。4)心筋分化における機能遺伝子群の同定:誘導性shRNAを用いた新しいES細胞における遺伝子機能解析系の構築を行った。内皮分化に必須であるFlk1遺伝子発現を抑制することにより、内皮細胞分化を阻害することに成功した。(平岡ら平成17年日本分子生物学会)。5)誘導心筋細胞による心筋再生:誘導した心筋細胞のマウス及び心筋梗塞モデルへの移植により、新しい心筋再生細胞移植療法の可能性を検討している。7)ヒトES細胞を用いた新しい心筋分化法の開発:ヒトES細胞使用計画の承認を受け、ヒトES細胞培養を開始した。心筋細胞の分化を確認している。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
FASEB J 19
ページ: 1534-1536
Blood 105
ページ: 4657-4663
Am J Physiol Heart Circ Physiol 288
ページ: H1915-H1924
J Artif Organ 8
ページ: 110-118
Regul Pept 127
ページ: 159-167
Eur J Pharmacol 508
ページ: 255-265