破骨細胞は骨吸収を担う特殊なマクロファージである。マウスの骨髄細胞は、M」CSF依存的に分化させてRANKLを加えると破骨細胞へ分化する。われわれは、細胞分裂直後と思われる隣接する二つの細胞の一方だけが、破骨細胞分化マーカーである酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TI盗P)に陽性となり、他方は陰性である染色像を多数観察したことから、前駆細胞が細胞分化の過程でマクロファージと破骨細胞とに非対称分裂を行うと考えた。平成18年度は、非対称細胞分裂と思われる現象を経時的にタイムラプス法で捉えるために、破骨細胞分化マーカーであるカテプシンKの転写調節下にCre組換え酵素を発現するマウスと緑色蛍光タンパク質(GFP)インジケーターマウスの交配により、破骨細胞特具的にGFPを発現するマウスを作製し、破骨細胞分化をGFPでモニターする培養実験系を構築した。 まず、共焦点レーザー顕微鏡によるタイムラプス法で解析により、CatK-Cre/GFPマウス由来の前駆細胞は、RANKLで刺激するとGFP陽性になり、破骨細胞分化を経時的にGFPを用いてモニターできた。さらに、破骨細胞分化が急速に起こるRNKL添加後48-72時間においてGFP発現の非対称性を伴う非対称細胞分裂が観察されるかどうかを検討したところ、非対称細胞分裂の可能性のある画像が得られた。そこで現在、さらにタイムラプス解析を分化の初期についても行い、細胞分裂とGFP陽性化との関連を追求している。また、CatK-Cre/Fos(floxed/-)マウス作製しており、破骨細胞分化後にc-Fosが必要かどうかの検討を進めている。
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