研究課題/領域番号 |
17045038
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
遠藤 充浩 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, 研究員 (40391883)
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研究分担者 |
古関 明彦 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, グループディレクター (40225446)
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キーワード | ポリコーム / ES細胞 / 分化 / 転写因子 / 転写抑制 / ヒストン / ユビキチンライゲース |
研究概要 |
Ring1BはヒストンH2AのE3ユビキチンライゲースであり、Ring1B欠損細胞ではモノユビキチン化ヒストンH2Aの大半が消失する。我々はRing1B欠損ES細胞とそれに各種変異Ring1Bを戻したES細胞株を樹立し、試験管内ES細胞分化系を用いて、ES細胞の正常な分化にはRing1BのC末部位とユビキチンライゲース活性の両方が必要であることを明らかにした。またこれらはUSOS細胞においてRing1Bのポリコームボディへの局在にも必要であることを明らかにした。これらの結果はRing1BのC末部位とユビキチンライゲース活性の両方が、Ring1B自身の標的遺伝子座への局在に不可欠で、ひいてはマウスの正常発生に必要であることを示唆するものと思われる。現在、変異Ring1Bの標的遺伝子座への結合状態をクロマチン免疫沈降(ChIP)法により解析している。また、Ring1Bのみを欠損させたES細胞は維持可能であったが、Ring1AとRing1Bの両方を除去すると、急速に未分化性が失われ増殖が抑制された。よってRing1A/BはES細胞の初期分化のみならず、未分化性の維持にも重要な役割を担っていることが分かった。ES細胞においてRing1A/Bを除去した場合に発現変化が生じる遺伝子群をマイクロアレイ解析により同定した。その結果、発現が上昇する遺伝子の数は発現が減少する遺伝子の数よりも2倍以上多く、発現が上昇する遺伝子群には、Hox群遺伝子、ホメオドメインを含む遺伝子、Tbx、Gataなど初期発生過程で重要な役割を持つ転写因子がかなりの高頻度で含まれていることが明らかになった。一方発現が下がる遺伝子群においてはGO-term解析では共通点が見出せなかった。現在ChIP解析により直接の標的遺伝子群の同定、及びポリコーム欠損ES細胞における標的遺伝子座のヒストン修飾の解析等を進めている。
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