研究課題/領域番号 |
17046001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
桝 和子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50344883)
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研究分担者 |
桝 正幸 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20243032)
塩見 健輔 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助手 (00311598)
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キーワード | 糖鎖 / 酵素 / 発生・分化 / 遺伝子 / 脳・神経 |
研究概要 |
ヘパラン硫酸(HS)は、発生、分化、増殖シグナルの制御において重要な役割を持つ。HS鎖は、構造多様性を有し、特定の硫酸化パターンが特定のシグナル分子と結合して機能するが、硫酸化パターンを制御する機構は良く分かっていない。最近、我々は、エンドスルファターゼ活性を持つ新規のスルファターゼSulfFP遺伝子を複数個単離した。これまでに、SulfFPが胎児及び成獣脳で特徴的な発現を示すこと、SulfFP蛋白が細細外へ分泌されること、ヘパリンやHSのグルコサミン6-硫酸を中性pHにおいて選択的に分解すること等を明らかにした。これらの実験結果から、SulfFPは、ヘパラン硫酸のリモデリングに関与し、細胞外シグナルの調節因子として働く可能性があると考えているが、生体内での機能は不明である。 そこで、本研究は、ゼブラフィッシュ胚での過剰発現系とマウスにおける標的遺伝子破壊系を用いて、SulfFP遺伝子の生理的な役割を明らかにすることを目的としている。ゼブラフィッシュでは、SulfFP1、SulfFP2に加えて、SulfFP3が存在し、アミノ酸レベルでSulfFP1と55%、SulfFP2と71%の相同性を有すること、胎児期にSulfFP1やSulfFP2とは異なる発現パターンを示すことを明らかにした。マウスに関しては、SulfFP1とSulfFP2遺伝子を破壊したマウスを作成したが、各々の遺伝子を単独で破壊した場合には大きな異常が認められなかった。そこで、ダブルマウスを作成した所、生後直ぐに致死になること、約1割の個体で、著明な脳室の拡大、大脳皮質・海馬の低形成などの異常が認められることが明らかになった。また、一部の神経軸索の走行にも異常があることが明らかとなったため、現在、詳細な解析を進めるている。ノックアウトマウスの脳から抽出したHSでは、6-位が硫酸化された二糖単位の割合が増加していたことから、SulfFPが生体内でHSの硫酸化パターンを変化させていることが明らかになった。
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