研究概要 |
糖タンパク質の小胞体品質管理機構における、N結合型糖鎖の役割を解明することを目的とし、私たちがクローニングしたマウスEDEMおよびEDEMホモログタンパク質の機能解析を行っている。今回私たちは、マウスEDEM3をクローニングしてその機能を解析した。その結果、EDEM3もEDEMと同様に、培養細胞に発現させると、小胞体関連分解(ERAD)によって分解される、ミスフォールドした糖タンパク質の細胞内分解を促進することを明らかにした。また細胞内N結合型糖鎖の構造解析を行うことによって、EDEM3を細胞に過剰発現させると、N結合型糖鎖からのマンノーストリミングを促進することを見いだし、このことからEDEM3は、マンノシダーゼとして機能する可能性を示した(JBC,2006,in press)。現在、バクテリアを用いて、EDEMおよびEDEM3のリコンビナントタンパク質を発現・精製し、酵素活性ならびにレクチン活性のin vitroでの検出に取り組んでいる。また、EDEMノックアウトマウスの作製を行っている。ノックアウト・アレルのプラスミド・コンストラクト作製し、ES細胞に導入した後、細胞株の選択を行って、相同組み換えを起こしたES細胞株を得ることができた。この細胞を用いて、アグリゲーション法によってインジェクションを施行し、キメラマウスを作出することに成功した。現在C57BL/6マウスへのバッククロスを行っており、今後、ノックアウトマウスの表現型の解析を行っていく予定である。
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