研究課題/領域番号 |
17046010
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 稔之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30217054)
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研究分担者 |
宮坂 昌之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50064613)
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キーワード | 高内皮細静脈 / L-セレクチンリガンド / シアロムチン / プロテオグリカン / グリコサミノグリカン / コンドロイチン硫酸 / ローリング / 細胞遊走 |
研究概要 |
【目的】糖鎖認識分子L-セレクチンは白血球の「ローリング」や炎症細胞の「血管外遊走」などを制御する多機能性接着分子である。しかし、L-セレクチンの多彩な機能がどのようなレセレクチン結合性糖鎖リガンドによって制御されているかについては不明な点が多い。本年度は、リンパ節高内皮細静脈(HEV)管腔面に発現する新しいムチン型L-セレクチンリガンドと主として血管外に分布するプロテオグリカン型L-セレクチンリガンドの免疫細胞の動態制御における機能的意義を明らかにするために解析を進め、以下の成果を得た。【結果と考察】1.新しいムチン型L-セレクチンリガンドnepmucinによるリンパ球動態制御:HEVの遺伝子発現解析に基づき、新しいシアロムチンnepmucinを同定した。糖鎖修飾酵素を用いた糖鎖付加実験から、nepmucinはムチンドメインにMECA-79抗体反応性糖鎖修飾を受け、生理的フロー条件下でL-セレクチン依存的なリンパ球ローリングを媒介することが示された。さらにnepmucinは、Igドメインを介してLFA-1およびVLA-4非依存的にリンパ球を接着し、ケモカイン刺激依存的なリンパ球接着を促進する特性を持つことが示された。2.プロテオグリカン型L-セレクチンリガンドによる免疫細胞動態制御:私たちはグリコサミノグリカン鎖のうち、過硫酸化されたコンドロイチン硫酸E(CSE)鎖がL-セレクチンや特定のケモカインを結合することを見出している。CSE鎖を特異的に認識する一本鎖抗体(van Kuppevelt博士より供与)を用いた免疫組織学的な解析の結果、リンパ節およびバイエル板においてCSE鎖はHEVおよびHEVを取り囲むreticular構造に特異的に発現することが示された。この結果は、CSE鎖がL-セレクチンやケモカインとの結合を介して、HEVを介するリンパ球のリンパ節への動員やリンパ組織内での移動の制御に関与する可能性を示唆している。
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