研究課題
PTPζは脳に選択的に発現する受容体型チロシンホスファターゼであり、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンとして生合成される。PTPζは、ヘパリン結合性成長因子プレイオトロフィン(PTN)をリガンドとして情報伝達するが、この際、PTNはPTPζのコンドロイチン硫酸部分に結合する。PTNはコンドロイチン硫酸鎖内の特定の構造を認識して結合すると想定されてきたが、その詳細は明らかになっていなかった。そこで今回我々は、鮫コンドロイチン硫酸D(CSD)を分画し、PTN結合に寄与する糖鎖構造の解明を試みた。CSDをコンドロイチナーゼABCで部分分解した後、Superdex 75pgカラムを用いたゲルろ過により分画した。各フラクションのPTNとの結合をBIAcoreシステムを用いて解析したところ、18糖以上の鎖長が結合に必要であることが明らかになった。さらに22糖画分をSAXイオン交換クロマトグラフィーで分画し、同様に各フラクションのPTN結合活性を測定した。その結果、コンドロイチン硫酸のPTNに対する親和性は、D構造(GlcA(2S)β1-3GalNAc(6S))および、E構造(GlcAβ1-3GalNAc(4S,6S))の含量に依存し、22糖内のDあるいはE構造の数が1から3に変化すると、PTNに対する親和性が数十倍以上強くなることが明らかになった。このことは、コンドロイチン硫酸の構造変異がPTPζ-PTNの情報伝達に重要な役割を果たしていることを示している。
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