研究課題
最近、スフィンゴ糖脂質がコレステロールとともに細胞膜上で集合してミクロドメインを形成し、そこに多くのシグナル伝達分子が局在していることが分かってきた。現在このスフィンゴ糖脂質ミクロドメインは脂質ラフトと呼ばれ、様々な生命現象におけるシグナル伝達の中継点として働いていることが明らかになり注目を集めている。その中で、本研究はラフトの形成およびシグナル伝達における複合糖質の機能を解明することを目的とする。申請者は脳神経系に多く存在するスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドの機能を解析するため、抗ガングリオシド抗体で免疫沈降する際に共沈してくるガングリオシド会合タンパク質の単離を試みてきた。そしてラット小脳顆粒神経細胞においてガングリオシドGD3が細胞表面タンパク質としてGPIアンカー型神経細胞接着分子TAG-1、また細胞内シグナル伝達分子としてsrcファミリーキナーゼLyn、その基質タンパク質Cbp、三量体Gタンパク質Goαと会合していることを報告してきた。さらに、申請者はTAG-1のリガンドとして神経特異的コンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるホスファカンが働いていることをすでに見出している。これらの結果は、ラフトは生体内においてガングリオシド、GPIアンカー、プロテオグリカンといった複合糖質が機能を発現する主要な場として働いている可能性を示している。そこで、ラット小脳からショ糖密度勾配遠心により脂質ラフト画分を調製し、過ヨウ素酸シッフ染色法により糖鎖を染色したところ、脂質ラフト画分に糖鎖が濃縮していることを見出した。さらにConA, ABAレクチンによる染色によって脂質ラフト画分に特定の糖鎖が濃縮していることがわかった。HNK-1糖鎖に対する抗体による染色においても同様の結果を得た。
すべて 2007 2006
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