研究課題/領域番号 |
17046028
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
小栗 佳代子 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), 室長 (10158826)
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研究分担者 |
中西 速夫 愛知県がんセンター研究所, 腫瘍病理学部, 室長 (20207830)
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キーワード | 癌 / 糖鎖 / 浸潤、転移 / シンデカン / マトリックスメタロプロテアーゼ / 硫酸化糖鎖 / プロテオグリカン / ヘパラン硫酸 |
研究概要 |
マウスルイス肺癌由来の転移能の異なる腫瘍細胞株を用いて、シンデカン-2発現量と転移能とが因果関係を持つ逆相関を示すことを既に明らかにしている。これらの株間で、転移に直接関与すると考えられるマトリックスメタロプロテアーゼ-2(MMP-2)の発現に差がないにもかかわらず、その活性化が転移能と相関することを見出した。そこでMM-2活性化に及ぼすシンデカン-2の機能を検討した。 研究実施計画(1)に関して (1)株間で、MMP-2活性化に関与する細胞膜複合体を形成する分子(MT1-MMP、TIMP-2、RECK)の発現量に差がないことを確認し、その制御にシンデカン-2が関与することを検討するため、シンデカン-2低発現株へのシンデカン-2蛋白芯cDNA導入及びヘパラン硫酸側鎖の付加し得ない変異cDNA導入株の作成を試み、それに成功した。 (2)上記cDNA導入株、親株及び自然高発現株を用いて、細胞表層シンデカン-2がマトリックスメタロプロテアーゼ-2(MMP-2)活性化の抑制的受容体として働き、その抑制にはシンデカン-2のヘパラン硫酸側鎖が特異的に機能していることを証明した。 (3)MMP-2がヘパリンに対して強い結合能を有することを検証した。 研究実施計画(2)に関して (1)昨年度の研究で、上記細胞株のin vivo転移能がヘパリン投与により抑制され、その度合いはヘパリンの硫酸基の位置に大きく依存することを明らかにしている。今年度は、化学的に硫酸付加した数種の直鎖上糖鎖を投与した結果、いずれの場合も6位の硫酸基が重要である知見を得た。 (2)これらの過硫酸化糖鎖投与による転移阻害が、血行性転移の一段階である、肺微小静脈への腫瘍細胞の貯留を阻害していることを見出した。
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