研究課題/領域番号 |
17047008
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中島 裕史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00322024)
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研究分担者 |
加々美 新一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30375654)
渡邊 紀彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (20375653)
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キーワード | アレルギー性炎症 / 気管支喘息 / 免疫監視 / T-bet |
研究概要 |
目的:喘息の発症には微量の非侵襲性抗原であるアレルゲンに対するTh2細胞の選択的活性化が深く関与している。すなわち喘息患者においては、アレルゲン特異的なTh2細胞の活性化に対する監視機構に何らかの障害があると推定され、その分子機構の解明は喘息に対する新規治療法の開発へつながる可能性を持つ、近年、Th1細胞のマスターレギュレーターであるT-betの遺伝子欠損マウスでは、ヒト喘息と類似したアレルギー性気道炎症が自然発症することが報告された。さらに喘息患者の肺浸潤T細胞では、T-betの発現が減少していることも報告されている。しかし、興味深いことにT-bet欠損マウスと同様にTh1細胞分化に障害があるStat4欠損マウスではアレルギー性気道炎症が自然発症しない。すなわち、T-betはTh1細胞分化誘導以外の機能を介してアレルギー性気道炎症を抑制していることが示唆される。そこで本研究ではT-bet欠損マウスにおいてアレルギー性気道炎症に対する抑制機構が破綻する分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。 結果と考察:本年度は、T-bet欠損マウスにおけるアレルギー性気道炎症の発症にStat6が必須か否かをT-betとStat6のダブル欠損マウスを作製して解析し、T-bet欠損によるアレルギー性気道炎症の発症にはStat6が必須であることを明らかにした。さらに、T-bet欠損マウスにおけるアレルギー性気道炎症の自然発症及び気道過敏性獲得に対する遺伝子背景の影響を検討し、1)C57BL/6背景のT-bet欠損マウスではアレルギー性気道炎症の自然発症が認められるが、Balb/c背景のT-bet欠損マウスでは認められないこと、2)T-bet欠損マウスにおける気道過敏性の亢進は気道炎症の認められないBalb/c背景のマウスでも認められることを明らかにした。これらの研究成果はT-betは気道炎症非依存的に気道過敏性の亢進を抑制していることを示唆している。 平成18年度の目標:平成17年度の研究成果をうけ、本年度は、Balb/c背景のT-bet欠損マウスにおいて気道炎症非依存的に気道過敏性が惹起される分子機構の解明を旧指す。
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