我々がシグナルシークエンストラップ法で、マスト細胞から同定したLMIR1はその後、全部で9種のレセプターファミリーであることが判明した。これらのレセプターはすべて細胞外ドメインに一個のIgドメインを有するI型の膜蛋白質である。我々はLMIR1から6までを同定し、相同性の比較的高いLMIR3-5を解析している。なかでもLMIR3は死細胞に結合しやすいことが判明し注目した。Fcを付加したLMIR3可溶型分子を利用してLMIR3が結合する分子を発現クローニング法で同定することを試みたが成功しなかった。そこで、上記のLMIR3可溶型分子により免疫沈降した分子を精製してMas/Masで解析し、ヒストンがLMIE3に結合することを見いだした。細胞においても確かにヒストンがLMIR3に結合することを確認した。この結果はアポトーシス初期の細胞表面に発現してくるヒストンをLMIR3が認識していることを示唆した。しかしながら、この現象はCBAマウスのLMIR3に関してのみ認められる現象であり、B6マウスやヒトのLMIR3はヒストンに結合しないことが判明した。現在、LMIR3に関してはノックアウトマウスがキメラまでいっておりノックアウトマウスが作成できれば解析予定である。またLMIR4に関してはモノクローナル抗体を数種作成した。これらの抗体は過剰発現させたLMIR4は認識するが、細胞株および生体内でLMIR4の発現は確認できなかった。mRNAの発現はB細胞、単球、顆粒球などに認められた。また、マウス体内では腸管にその発現が強かった。また、LMIR4をマウスマスト細胞に過剰発現させ、抗体でligationすると大量のTNFαなどのサイトカインを産生することも分かった。
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