研究代表者のグループは、新しいペア型Igレセプターとして、抑制型レセプターLMIR1とLMIR1に相同性の高い活性型レセプターLMIR2を同定し解析した。その後LMIR1/2の遺伝子座付近を検索することにより、新たに抑制型レセプターLMIR3と活性型レセプターLMIR4-8を同定した。 本年度はLMIR3、LMIR4、LMIR5の解析を中心に行った。RT-PCRおよび作製したモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体を利用して発現分布を調べたところ、活性型レセプターLMIR4、LMIR5はマクロファージ、マスト細胞、樹状細胞などミエロイド系血液細胞に主に発現されていた。また組織では骨髄以外に肺、気管、消化管などでの発現が認められ、免疫監視なかでもinnate immunityとの関連が示唆された。LMIR4はITAMを有する活性化分子のうち、FcRγと会合するのに対して、LMIR5はDAP12と会合した。FcRγあるいはDAP12がそれぞれLMIR4あるいはLMIR5の活性化シグナルを伝達することは、ノックアウトマウスを利用した実験で確認した。つまりFcRあるいはDAP12ノックアウトマウス由来のマスト細胞に強制発現したLMIR4あるいはLMIR5を活性化して、IL-6の産生が消失することを確認した。また、lynおよびsykノックアウトマウスを利用した実験で、LMIR4、LMIR5の活性化シグナルにはこれら2つのチロシンキナーゼの存在が必須であり、その下流ではErk1/2の活性化が起こることも判明した。LMIR3をco-ligationするとLMIR4の活性化シグナルが強く抑制される。興味深いことにLMIR4のシグナルはLPS/TLR4と相乗的に働くことも明らかにした。LMIRのリガンドは未同定であるが、上記の結果はLMIRがinnate immunityに関与していることを強く示唆している。 LMIR4に関する論文はJ Biol Chem誌に印刷中、LMIR5に関する論文は投稿中である。
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