研究課題/領域番号 |
17047015
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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研究分担者 |
半田 宏 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80107432)
土屋 輝一郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40376786)
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キーワード | IL-7 / IL-7レセプター / Interferon Regulatory Factor(IRF) / 炎症性腸疾患 / 消化管粘膜免疫制御 / 免疫制御療法 / 細胞内シグナル伝達 |
研究概要 |
本研究は、腸管粘膜でのIL-7/IL-7受容体を介する免疫調節分子機構の解明と、これに基づく炎症性腸疾患に対する新規免疫制御療法確立の理論基盤を構築することを目的とするものである。本研究では当初の研究計画に示した項目につき、下記に示すごとく大きな研究成果が得られた。昨年度の成果より腸管上皮細胞によるIL-7産生が慢性大腸炎発症に密接に関わることを示すとともに、IL-7レセプター高発現粘膜リンパ球がヒト炎症性腸疾患の新規治療標的となりうる可能性を示した。本年度はさらに大腸炎局所リンパ球のIL-7依存性増殖が正常リンパ球と異なる細胞内シグナル経路を介するとの新知見を見出し、そのシグナル経路を特異的に阻害することでIL-7レセプター高発現粘膜リンパ球のIL-7依存性の増殖が阻害される事がわかり、新規治療標的の具体的な治療法の可能性が示された。現在シグナル経路阻害剤によるin vivoでの効果を詳細に解析中である。またヒト腸管上皮細胞の解析により、IL-7産生においてIRF-1/IRF-2の両者がIRF-2は構成的、一方IRF-1は刺激依存性の各々独立したIL-7誘導因子であることを明らかにし、ヒトにおけるIL-7分泌の調節機構を初めて報告した。これらの成績はIRF-1/IRF-2の新しい協調機構を提示すると同時に、腸管上皮細胞におけるIRF蛋白機能の重要性が示された。本年度はさらに腸管上皮細胞のIRF蛋白機能に着目し、IRF-1蛋白の標的遺伝子を網羅的に検索し、そのほとんどが免疫プロテアソーム構成分子であるという興味深い結果が初めて示された。これは腸管上皮細胞がIRFを介したIL-7産生と同時に免疫プロテアソーム構成による抗原提示能を同時に獲得する可能性を示しており、腸管免疫機構の中心的役割を担うことが示唆された。現在さらに、腸管上皮におけるIRF蛋白機能の詳細な解析を継続中である。
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