1)目的 RAPLを欠損するマウスでは、加齢すると自己免疫疾患及びB cell lymphomaを発症する。 RAPLが増殖応答を制御している可能性を検討した。 2)方法及び結果 RAPL欠損マウスでは、8-12mnth oldで、脾腫とともに自己免疫性の糸球体腎炎を発症することが分かった。T及びB細胞数の増加が認められ、CD44+CD62L-のeffector/memory T cellの割合の増加及びCD138+のPlasma cellの増加も認められた。また、12 montholdで30%以上のマウスでmature B cellタイプのLymphomaが発症することがわかった。IgHの再構成をSouthern blotで検討し、monoclonalであることが確かめられた。そこで、RAPL欠損丁及びB細胞のTCR及びBCR刺激による増殖反応を3H-Thymidineの取込みを調べるとともに、BrdU/7AAD染色によってcell cycle解析を行ったところ、RAPL欠損リンパ球は正常リンパ球に比べ、Sphaseへの移行が1.5〜2倍程度亢進していることが判明した。この原因を追求するため、まずearly signalついて、Erk及びIκBαのリン酸化を指標に検討したが、亢進は認められなかった。G1からS期への移行に関与するCyclinD/Eの発現にも違いは認められなかった。in vitroで、Cdk4の活性をRb-GST、Cdk2の活性をHistoneを基質として検討したところ、Cdk4の活性には差が認められなかったが、Cdk2のkinase活性が2倍程度R紐L欠損T及びBリンパ球では亢進していることが明らかとなった。 3)考察 RAPLは、TCR及びBCR刺激によるリンパ球の増殖反応の抑制分子として重要な働きをしており、その欠如は自己免疫病発症につながることが示唆された。
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