研究課題
1)IL-18によるTh1型気管支喘息の誘導とIL-18を標的とした気管支喘息の治療法の基礎を確立申請者は、OVA特異的メモリーTh1細胞を移入した正常マウス(メモリーTh1マウス)にOVA+IL-18を吸入するとTh1細胞からIFN-gとIL-13産生を誘導することでTh1型気管支喘息を誘導すること報告した(16年度)。マイコプラズマ肺炎あるいはRhinovirus感染が契機となって好中球を主体とするステロイド抵抗性の気管支喘息が発症することが知られている。そこで17年度は、OVA+IL-18を吸入代わりに、OVAと病原体成分をTh1メモリーマウスに吸入することで内因性IL-18を誘導し、気管支喘息を誘発できるか検討した。その結果、(1)気道上皮細胞をグラム陰性菌の菌体成分のリポポリサッカライド(LPS)で刺激すると、IL-18が産生誘導されることを確認した。次に(2)メモリーTh1マウスにOVAとIL-18を吸入する代わりにOVAとLPSを吸入させることで気管支喘息を発症した。(3)この喘息の発症にLPSによって気道上皮細胞から産生されたIL-18が関与することを明らかにする目的で、LPSと共に抗IL-18鎖抗体を投与すると気管支喘息の発症を抑制した。以上の研究から、感染を契機として発症するいわゆる"Th1型気管支喘息"に病原体成分によって誘導される内因性IL-18が関与していることが明らかになった(以上、内因性IL-18による気管支喘息誘導)。2)IL-18による腸管寄生線虫に対する感染防御作用腸管寄生線虫の排虫メカニズムの1つに、Th2サイトカイン(IL-3/IL-9)の作用で小腸粘膜に集積、活性化された粘膜型肥満細胞(mucosal mast cell : MMC)が放出するコンドロイチン硫酸が、虫体の粘膜への接着侵入を阻止する方法である。糞線虫の1つであるStrongyloides venezuelensis(Sv)の排虫はこの方法で行われる。本論文で我々は、(1)IL-18+IL-2の生体内投与はCD4^+T細胞からのIL-3/IL-9産生を誘導し、Sv排虫機能を有する活性化MMCを誘導すること、(2)Svに感染した野生型マウスは内因性IL-18産生を誘導し、Th2非依存的に活性化MMCを誘導する結果、Sv感染防御作用に関与することを示した。本研究を通して、IL-18の全く新しい粘膜免疫作用が明らかになった。
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