2005 年度実績報告書

アダプター分子BCAPを介する免疫制御分子機序

研究課題

研究課題/領域番号	17047045
研究機関	独立行政法人理化学研究所
研究代表者	黒崎知博独立行政法人理化学研究所, 分化制御研究グループ, グループディレクター (50178125)
研究分担者	餐場祐一独立行政法人理化学研究所, 分化制御研究グループ, 研究員 (00273516)
キーワード	BCAP / BANK / アダプター分子 / BCR / 胚中心 / 免疫応答
研究概要	獲得免疫系の最大の特色は、その多様性および寛容性である。無数の外来性抗原(非自己)を認識し、反応する一方、自己抗原に対して不応答性を示すという(寛容性)、極めてユニークなシステムを築き上げている。この機能を担っているのはB細胞の場合、B細胞レセプター(BCR)である。したがって、BCRを介する抗原認識によって引き起こされるシグナル伝達機構の研究は、B細胞の分化・増殖・細胞死の運命制御機構を解明するための必須の課題である。本年度は申請者らが単離したアダプター分子BCAPに非常に類似した分子BANKが存在し、この分子がB細胞において発現していることを見出した。さらに、BANKの機能がBCAPとredundantに働いているのか、またはユニークな機能が存在するのかを検討する目的で、BANKノックアウトマウスを作成し、解析した。 BCAPはB細胞の活性化をpositiveに制御しているが、BANKはnegativeに制御していることが判明した。その結果、BANKノックアウトマウスでは、TD抗原に対する反応性、すなわち胚中心の形成の増加、抗原特異的IgMの過剰産生が認められた。BANK,BCAPの両分子共に欠損したマウスでは、むしろBCAPノックアウトマウスに見られるようなBリンパ球の最終分化の障害がdominantに見られ、BANKの機能はBCAPの機能に依存して見られることが強く示唆された。現在、BANKのB細胞免疫寛容における役割を検討している。