研究課題
目的)iVα14、iVα19の2種のiNKT細胞について、自己免疫疾患やアレルギー疾患における機能を検討し、これらの細胞を介して疾患抑制に有効な機能を選択的に引き出せるリガンドを探索する。結果)iVα14T細胞については、血清移入関節炎において関節炎を強く抑制する合成糖脂質(SGL)を見い出した。SGLは、誘導前または発症後に投与しても関節炎を抑制した。Jα18ノックアウトマウスでは、SGLは関節炎を抑制せず、その効果はiVα14T細胞依存性であった。血清移入関節炎におけるSGLの病態抑制効果は、IL-10、TGFβに対する中和抗体の投与により減弱しなかった。SGLは、OVA誘導性のアレルギー性気道炎症モデルも抑制した。iVα19T細胞については、Vα19Jα33TgならびにVα19Jα33Tg/CD1KOマウスにおいて、コントロール群に比較してEAEの重症度が低かった。MOG_<35-55>特異的リンパ球の増殖反応は、Vα19Jα33Tgマウスと野生型B6マウス、またVα19Jα33Tg/CD1KOマウスとCD1KOマウス間において差がなく、EAEの重症度の変化ほMOG反応性T細胞の頻度によるものではなかった。サイトカイン産生については、Vα19Jα33TgマウスではIL-2、Vα19Jα33g/CD1ノックアウトマウスではIL-2、TNF-α、IFN-γ、IL-13、IL-6についてコントロールに比較して産生低下がみられた。一方、MR1ノックアウトマウスではEAEの重症度は悪化した。MOG_<35-55>に対する抗体のアイソタイプは、Vα19Jα33Tg/CD1KOマウスで、IgG1、IgEが有意に高く、MOG_<35-55>に対する反応がTh2に偏倚していることが示された。考察)iVα14T細胞のリガンドSGLについては、関節炎、アレルギー性気道炎症モデルを抑制することから、iVα14T細胞の機能抑制が作用機序として考えられるが、その他両モデルを抑制する液性因子等についても検討が必要である。iVα19T細胞については、EAEにおいては、疾患抑制的に作用することがわかった。今後はその作用機序の検討が重要である。
すべて 2005
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