研究概要 |
好中球の活性酸素発生系にて活性酸素発生を触媒するNADPHオキシダーゼは細胞質因子と膜タンパク質の複合体である.活性酸素発生系の休止状態においては,細胞質因子p47phoxは分子内マスクされており,膜タンパク質p22phoxと結合できないが,細胞刺激にともない分子内マスクが解除され,p22phoxと結合し,活性酸素を発生できるようになる.研究代表者らは,X線結晶構造解析および核磁気共鳴の手法を用いて,休止状態および活性化状態におけるp47phoxの立体構造を解析した.両状態の立体構造比較から,分子内マスク解除およびリガンド認識の制御機構が明らかになった. 好中球NADPHオキシダーゼの構成成分,p67phoxのTetratricopeptide repeat(TPR)ドメインは,GTP結合状態のRacと結合することにより,NADPHオキシダーゼを活性化する役割を担っている.TPRドメインの立体構造的特徴を明確にするため,および,Racとの結合部位を明らかにするため,p67phoxのTPRドメイン(203残基)の主鎖連鎖帰属およびメチル基特異的帰属を行った.Val,LeuおよびIle(d1)のメチル基のみプロトン化された2H/13C/15NラベルTPRドメインを作成し,各種の2次元および3次元NMR測定をおこなった.NMRスペクトル解析をおこない,98%以上の主鎖原子に関して連鎖帰属を完了した.さらに,プロトン化されたVal,LeuおよびIle(d1)のメチル基についても帰属することができた.
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